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遺跡の驟雨 2 BLOOD+ 30年後







「うふふふ…あははははははは…!!」

高らかな笑い声をあげて、嘲るように小夜を見る。
その目には、明らかな嫉妬と、憎悪。

「私の血をあげたのよ!カイが老いていくのなんて見たくなんかないもの!」

「…カイが、シュバリエに…?」

衝撃に震え、小夜は愕然としてカイを見つめた。

「私と、永遠の刻を生きるって、言ってくれた…ずっと、私を護ってくれるって、言ったわ。
 だから、こうして…血を飲ませたの…」

言葉と共に音もなく瞬時にカイの側に佇み、彼に唇をよせる。

「なのに、カイったら、私の頼みを、聞いてくれないのよ…」

感情的に目を赤く光らせ、叫びながら小夜を睨みつけた。

「この、私が頼んでいるのに!おば様を殺してくれない!」
「よせ!やめるんだ!」

小夜の鼻先に、顔を近付けて囁く。

「ねえ…おばさま?本当は母さんと刺し違えて死ぬおつもりだったんでしょう?
 その望みを、今、私が叶えてあげる」


「見て!私のこの血…!」

掌から滴り落ちる鮮血が、彼女の腕を伝って剣先まで流れ落ちていく。

「私の血で、あなたを滅ぼす事が出来る…そう考えるだけでたまらないわ!ゾクゾクするの!」

剣先を小夜に向けたそのとき。

一陣の風が、二人の間に吹き抜けた。
わずかに身を押されて、小夜は後ろへよろめく。
誰かが、小夜を庇うように、彼女の前に立ちはだかったのだ。

「やめて!ねえ、やめてよ!」

「どきなさい。お人よしの役立たずなお姉さま」

「やめてったら!そんなの、きっと母さんだって望んでないよ!」

「望もうが望むまいが関係ないわ。あなただって、本当は殺してやりたいと思っているんでしょう?」

「あたしは…ずっと、ずっと楽しみだった!小夜おばさまが目覚める日が待ち遠しくてならなかった!だって、母さんのお姉さんだもの!母さんとそっくりだっていう、母さんの双子のお姉さんだもの!」

「ふぅん…そぉ。あーあ、愚かな姉を持って私はとーっても不幸だわ」

鼻で笑って、剣先を自らの姉に向ける。

「ちょうどいいわ!あなたごと、小夜おばさまを貫いてあげる。あなたは私の血で、あなたの血で、おばさまは死ぬのよ!」

「馬鹿!!やめるんだ!いったいどうしちまったんだよ?!自分の家族を殺して何になるって言うんだ!俺が繰り返し話して来た事は無駄だったっていうのかよ?!」

「ええ!嫌になるほどにね!カイの心はいつだって私を見はしなかった…!おばさまのせいよ…」


「おばさまなんて、いなくなればいい!!」
「やめてーーー!!」



「ハジ!剣を!」

 

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