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交差する透き影 黒ではない、光を混ぜた、蒼紫の影 交わり、重なるごとに 深みを増して埋もれていく 影は濃くなり菫になる 臆病な色合いに浸されて ただひたすらに 想いを過去へと沈めていく 誰にも知られない花の影に そのまま沈めて 紫の花に隠された真意を 永遠に 古い屋敷の階段を昇っていく。
一段、一段、踏みしめる都度に、ギシギシと、足元で苦しげな音が鳴る。 軋む。一つの仕草、一つの言葉を、踏み締める度に、不愉快な音は大きく大きく響いていく。 内側から引っ掻くような音。階段の途中で立ち止まる。 音に堪えかねて、手にしていた花を、ぐしゃりと握り締めた。 そうしていくら花弁を毟ってみても、見つからなかった。 欲しくて、欲しくて堪らなかったもの。 鳴り止まない音を消し去る、たった一粒の種子。 求めるものは得られず、欲するものは増えていく。 彼女は俺に何を求めているのだろう。 届けられた花束と、小さなカードに添えられた言葉。 それだけでは、何も心を満たすことはできないのに。 |
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